6/4 外貨投資

2003年5月号の「日経マネー」の記事の要約を載せておくことにします。

  • 日本の青年期=円高時代

経済成長率は生産年齢人口(15〜65歳)と生産性の伸びの合計で決まる。日本の実質GDPの伸び率は生産年齢人口の伸び率にほぼ比例していた。日本の総人口は’06年まで増えるが、経済成長を左右する生産年齢人口が’95年にピークをつけ、他の先進国に先駆けて減少を始めた。その’95年に日米の経済成長率格差が逆転し、円も一時79円台と過去最高値をつけたことは象徴的。

  • 通貨安の構造要因は人口減

英国では1900年代を通じて人口の伸びの鈍化に伴い通貨が大幅に安くなる現象が起きた。1800年代の終わりごろに人口増加率が1%を超えていたが、1900年代終わりには平均で0.18%程度に低下、この間、経済活力の低下が進み、ポンドは対ドルで3分の1に下落した。英国の国民は当時、北米など自国より高い経済成長の見込める地域に対する積極的に投資し、通貨安を逆にメリットに変えたそうだ。
また、日本の借金がすでに異常ともえいる水準まで膨れ上がっている。負債比率が極端に上がると国そのものに対する信用が薄れ、通貨安につながりやすい。一方で借金の実質負担を軽くするためにインフレ政策がとられる可能性も高まっており、この場合も通貨安につながる。

  • 短期的にはドル安も

目先1,2年の短期で考えた場合は円高に振れる要因が多い。米国に関して言えば対イラク問題のほかにも、’03年の景気が市場のコンセンサスを大きく下回る可能性があり、ドル安要因。また、実質金利名目金利からインフレ率を引いたもの)は実は日本の方がデフレの分だけすでに米国より高くなっており、ドル安要因。また、日本経済が回復に向かい、円が買い戻される局面もあり。

  • ドルは中長期的には対円で大幅上昇も ユーロは人口拡大で上昇続く?

通貨を決める大きな要因である経済成長率は労働人口と生産性の伸びで決まる。米国、オーストラリア、フィンランド、カナダなどで潜在成長率が高い。
ユーロは中長期的に加盟国が増え、ユーロの使用も増えてくると見られる。ドルと並んで外貨投資の大きな核になりそう。

  • 資産を外貨で持つ時代

アルゼンチン経済危機の折には、資産家は外貨を保有していたので国家経済が破綻しても個人は破綻しなかった経緯がある。資産運用の基本は「長期投資」と「分散投資」で、スイスのプライベートバンクで顧客の資産に対して最初に行われることは通貨の分散。その上で、それぞれを株にするか、債券にするかとポートフォリオを組んでいくらしい。